いつかわすれたうたが
いつかわすれたうたが
君のくちびるにのぼったら
一艘の舟がこぎだすだろう
夕陽の海へ 雲のかなたへ
(そして、振り返ることもなく)
いつかわすれたうたが
君のなみだにかわったら
一羽の鳥がとびたつだろう
夕陽の海へ 白い羽根をこぼして
(ひとひら、まぶしく落ちていった)
戻っておいで わたしのこころよ
波濤はひかりを増してゆく
それだけが痛みのように
戻っておいで かつて愛したものよ
目を閉じると
夕陽の海ははるかな君へとつづいている
(もえているのは あれは赤い花、
血のような赤い花、)
いつかとばなくなった鳥が
君のつばさにかわったら
いつかわすれたうたを
君はうたって
わすれていた訳ではないのですが、詩とは難解な暗号のようなものだと改めて思いました。この詩で key word になる暗号は「君」、君とはすなわち私(作者)と読みました。1回だけ「わたし」も登場するから「私」と「わたし」はどう違うのか?でもそれはそれでいいのです。Theyが「彼ら、彼女ら」のどちらも意味するように、「君」は1人称と2人称の両方の意味をもち、むしろ1人称なのかも知れません。とゆう解釈はいかがでしょうか。解釈するものではなくてフィーリングを味わうべきかも知れません。詩と暗号と甘い砂糖を混同している味覚音痴の蟻さんのような私をどうぞお許しください。
返信削除春麗さん、「君」とは誰なのか。謎解きを楽しみました。その通りかも知れません。「君」は「わたし」でもある。それがこの詩の本質のような気がします。書いた本人も曖昧ですね。。。「君」と呼びかけながら、「わたし」という言葉も使ったのは、やはり主観が入ってるからだと思います。あえて「わたし」。それが「君」と両方の意味を持つなら、面白いです、言葉は。
返信削除掛け値無しに良いですね。言葉の反復、反復の中の転調、語尾処理、全てが素敵な調和を生んで、絶妙な読後感です。ありがとう。
返信削除Yさん、それほど深く考えて書いた詩ではないのですが、そういっていただくと報われる気がします。こちらこそ感謝なのです。
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