2008年6月5日木曜日
緑の雨
あなたは泣いています
あなたは泣いています
緑の雨にずぶ濡れて
ただただこの世がいとしいと
あなたの頭上に垂れ下がる
電線の雫がぽとりと落ちて
ひとつひとつが世界を映してる
あなたの泣き顔も
あなたの目からこぼれる痛みも
まるで緑の葉に垂れ下がる
この世界は蜘蛛の巣のようです
あなたも何かに引っかかり
雫を浴びてきらきら光っています
例えそれがかなしみでも
例えば一瞬にして
通り過ぎる出来事だったとしても
雨が上がれば蜘蛛の巣は
また緑の葉に隠れてしまうでしょう
雨があがればあなたもまた
見知らぬ雑踏の一人です
雨が上がれば頭上の電線も
高い空に走ってゆくだけの
駆け出す思いに立ち止まり
あなたは今見上げてる
あなたのもとに落ちてくる
たくさんの泣き顔と
たくさんの痛みを受け止めて
あなたは泣いています
緑の雨にずぶ濡れて
ただただこの世がかなしいと
ただただこの世がいとしいと
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