2015年5月21日木曜日

藤のからまる森で



昼下がりの
うすむらさきに藤がひかる
森で
少女は見知らぬ少女と出会った


目を閉じて 見知らぬひとと
わたしの森を過ぎてゆく
風、


心臓の音だけが聞こえるでしょう
唇と唇が触れ合い
少女の長い髪が痛くって ね、

 
 アナタハ一体誰デスカ
 アナタガ何者カナンテドウデモイイヨウニ


やがて黄昏が
うすむらさきになって
わたしたちの慕情をかくした


見知らぬひとと 指をからめて
わたしの森をさまよう
夜、


何も知らなくてもいいのです
星はお互いの胸にひかって
どこかせつなくって ね、


藤がゆれる うつくしくあるためだけに
少女たちはもうどこへも行けない
森で
明日もその次の日も