2013年11月20日水曜日

白い鳥、飛んでいった



ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける


ね、あなたは今も孤独なのだろうか
あの湖にさまよう淋しい舟のように
いつか二人で沈んでゆく夢を見た
わたしは見上げて あなたの指さきが消えるのを
あぶくが涙のように立ちのぼるのを


白い鳥は言葉をうしない、わたしはイラクサを編む
かじかんだ指は時を編む この心あなたに届くように


それは誰も知らない、二人だけの時間
いつか指さきが触れる暁の彼方に
あなたは微笑むのだ わたしをその目でじっとみつめて


ね、あなたの見る夢のなかに
たとえ遠くても行こうとおもう
わたしはきっと白い鳥になってあなたのもとへ
 泣きながらなきながらあなたのもとへ
わたしたちの翼はまだ若くこんなに力強い


白い鳥、翼をひろげて飛んでゆく
白い鳥、あなたの見る夢のはるか遠くへ 彼方へ



2013年11月6日水曜日

第一夜~第三夜 子犬とロザリオとカーネーション



第一夜
夢のはなし。眠っている私の左手を子犬が咬もうとしている。戯れだと知っているから、そのままじっとしていた。子犬はやさしく歯を当てた。


第二夜
夢のはなし。忘れ物に気づいて、さっきまで食事をしていた店に戻る。店員に断り、階段を駆け上った。テーブルの下を探すことしばらく、それは見つかった。ロザリオだ。忘れたのはこれだったんだと思った。


第三夜
夢のはなし。雪が降り積もっている。吹き溜まりをかきわけると、花があった。輝くばかりの白いカーネーション。生き返ったようだった。花言葉「私の愛は生きています」。




■Twitter で不定期に書いていた夢のはなしをブログにも少しずつ載せてみる事にしました。題して「夢百夜」。夏目漱石に倣って、実際に私が見た夢の数々です。印象に残った夢を、泡のように消える前に、忘備録として短い言葉で。でも、何だか抽象的ですね。夢はいつもそう。いくつもの断片の集まりなのです。