2013年8月21日水曜日

緑のおもいで



あの月をおぼえている
かつて輝いた太陽を知っている
その手に触れたものも
触れ得なかったものもぜんぶ


それは、
緑陰にそっと揺れていた
真昼のしんとした光を浴びて
それは、
あなたしとわたしが触れた
名も知れない小さな花


ふるえていたのは風のせいではないこと
あなたとわたしの唇が
かすかに触れ合ったことなど


黄昏は早く訪れた
誰もいない花影でふたり
月も太陽もすべてわたしたちのものだった
見知らぬひとのほほえみさえも


それは、
緑陰にそっと眠っていた
わたしたちのもうひとつの翼
それは、
あなたとわたしが放した
名も知れない小さな鳥


アイシテル アイシテル
やさしい声でくり返すリフレイン
すべてわたしたちのものだった 月も太陽も
見知らぬひとのなみださえも