2018年12月23日日曜日

Tebe Poem









ブルガリア聖歌です。Dobri Hristov というブルガリアの作曲家の作品で、聖歌も数多く作曲している方です。「Tebe Poem 」 は「私たちはあなたに歌います」といった意味で、正教の奉神礼の聖歌らしいのです。ロシアなど、他の国の正教でも作曲されて歌われているようですが、この歌が一番美しいと思いました。EVA QUARTET という四人組の女性グループが歌っています。魅惑のブルガリアンヴォイス。



2018年11月20日火曜日

第二十八夜~第三十夜 位牌とエレベーターと歌の店



第二十八夜
夢のはなし。お寺だった。傾斜のきつい階段を上りきると、住職が待っていた。中に入ると、参列者の前方の板の間に位牌が二つ置かれている。そのひとつにはロザリオが巻き付いていた。見ず知らずの男女はイタリアで死んだという。十字架を見ているうちに、涙がこみ上げてきた。


第二十九夜
夢のはなし。エレベーターに乗り込んだら床が透明になっていて下が見えた。乗り合わせた数人とまさか!と思ったとたん、すごい勢いで降下する。身体にGがかかって、思わずしゃがみ込んだ。


第三十夜
夢のはなし。古びたマンションの一階にある店に歌を聞きに行った。「トモヤって誰」と聞くと、連れて来た人はムード歌謡の歌手だと言った。「知らない」とつぶやく。店にはシャッターが下りていたが、いつのまにか人であふれていた。その中に彼がいる。こっちを見ていた。



■見知らぬ建物の夢も数多く見ています。誇張したように、巨大である場合もあるのはなぜなのか。現実にはないデパートや工場で迷子になったり、お店を訪ねたり、病院や旅館もあります。ただし学校だけは自身の記憶と大部分は結び付いているようです。そして学生に帰っているのです。そこだけは時が止まったように。




2018年10月17日水曜日

遠い集会



遠い声を聞いた 海の底のようなはるかな声だ
耳に残る 今はおぼろげな記憶のようだと
貝殻の奥にある秘密の旋律のようだと


遠い道を歩いて抱いてしまった憧れに逢いに行く
人々が集って来る 草を踏みしだき
あるいは土の上を嬉々として踏み固め


どこからともなく湧く水の泡にも似た胡乱だ
どこまでも辿り着かない夢だ
けれど
もう少しで指先が触れるだろうという渇望が
前へ前へと突き動かしている


わたしたちはみな同じ夢を見ている
遠い手触り それとも遠いまなざし
ただそれを知りたいというささやかな欲望だけで





2018年7月23日月曜日

七月の睡蓮の庭



いつかわたしが殺したあなたは真夏の池に眠っている
水天井を睡蓮の花で彩られ 綾なされあなたは
わたしが逢いに来るのをずっと待っている
その白い咽喉をのけぞらせ(わたしが愛したその咽喉仏)
しなやかな四肢をのばしている朝夕を


誰にも知られない あなたは秘密の水脈
繰り返されるアラベスク模様のひとつの装飾のように
あなたとわたしだけの時間がそこにある
乱反射する光にわたしは眩暈を感じる
あなたの指先がわたしの足首を這い


  キスして
  そこから顔を上げて
  睡蓮の葉陰にあなたの切れ長の目が覗く


わたしは岸辺からあなたを見下ろして
あなたの唇がわたしの唇に触れるのを待っている
(そのまま窒息しても 水に引き込まれてもいいとさえ)
けれどあなたは水のなかでずっと黙して語らない
わたしをあの時のまなざしで静かに見つめ返し 


 それとも日々の泡
 あなたの唇がかすかに動いたような気がしたのは


ああその池がどこにあるのかすでに思い出せない
七月の光を浴びながら睡蓮の花が咲いている
怖いくらいに美しいのはあなたを隠しているからだ
水のやわらかなうねりに今もそっと抱かれているように
わたしだけの夢を永遠に見ているように



2018年6月13日水曜日

レイン



海鳴りとは違う何か


僕の胸の裡で雲のように高まり
やがて激しく満ちてゆくもの――レイン
耳を澄ませば走ってゆく
樹々の隙間から見た青い空に
今しも雲が 鳥が羽ばたき
まるで君の心のように触れてゆく
指先が濡れてゆく
あれは君の瞳か――レイン
手を伸ばしても届かない


海鳴りに似た何か


とても遠い何か


きっと溺れてしまう前に
僕は息継ぎをする
僕は目を閉じる





2018年3月27日火曜日

夢の丘、一角獣の涙



夢のなかの丘で待っていた、
あなたを、あなたに似た瞳の一頭の馬
いいえ、あれは一角獣というまぼろしの生き物
わたしのなかに駆けてきた純粋な涙


あなたはいつも雨が降っている その頬にも
雨は降りやまない わたしたちのなかにも
あなたという見果てぬ夢を
強く抱きしめて、抱きしめると涙をこぼした


 わたしハ一角獣ヲ夢見ルノデス、


同じ雨に濡れていながらあなたは遠ざかる
春になったら雪解け水が流れるように
春になったらあなたは若木のように枝をのばし
わたしをすり抜けてしまうのだろうか
あるいは白い馬のように駆けて行って


 ソノ一角獣ノ瞬キ二モ似タ一瞬ノ夢ヲ、


あるいは白い馬のように駆けて行って
あなたに追いつけるように
雨が降りしきりすべてを通り過ぎてゆく
雨はあなたに似ている わたしの頬に触れて
やがて跡形もなく消えてしまうように


 ダカラコソわたしハあなたヲ愛スルノデス、


それでもわたしのなかにやさしく残る夢だ
いつしかわたしの腕のなかにひざまずく生き物
わたしを慰める白いまぼろしを
強く抱きしめて、抱きしめると涙をこぼした


夢のなかの丘で抱きしめていた
あなたを、あなたに似た瞳の一頭の馬
まっすぐに見つめて わたしを貫いて
一角獣のたてがみ、風が吹いたら駆けてゆく



2018年1月20日土曜日

第二十五夜~第二十七夜 ガラス工房とマラソンランナーと灯台



第二十五夜
夢のはなし。顔も分からない人と寄りそって歩いている。小さな商店街を抜けると、一人の少女が「私の夢はガラスを作ることなの」と囁いた。古びたガラス工房があり、木のテーブルにはすでに出会っているはずの、見知らぬ彼が座っていた。奥には青色を内包したガラス玉がいくつもぶら下がって。


第二十六夜
夢のはなし。ちょうど赤信号だった。横断歩道の前で待っていると、大通りの向こうからマラソンランナーの一団(外国人選手もいた)がわさわさ走って来た。するといきなり左折して目の前の横断歩道を渡って、こちらに目がけて一目散に走って来るではないか。寸前でよけた。


第二十七夜
夢のはなし。アーケードの隙間から、歩きながら巨大な建造物を見上げている。黒と白のモダンな灯台だ。私たちはみな灯台を目指して歩いている。それは人生のようだった。



■街を歩く夢をよく見ます。歩いていてどこへ向かっているのかは定かではない場合がほとんどです。目的地に行こうとして夢の迷路で迷ってしまう事も多々あり、夢の街は一筋縄ではいきません。でも、知っているようで知らない夢の街が好きです。最近ではなぜか巨大な建物が登場するようになりました。願わくばいつかどこかへたどりつける事を。