2009年8月5日水曜日

夏の庭



ひそかな風にあおられて
梢の葉裏がひるがえる
なぜなのだろう なぜかしら
瞳の奥がかすんでくるのは


指先をのばしても
風はすり抜けるばかりで


あなたは黙って
傍らの草をむしり取る
その指がいつしか
わたしの心を蝕んでゆく


何もいらない 欲しくない
瞳だけで囁くやわらかな時

    
     こぼれてしまうから
     花のように
     そして読みとって
     わたしの唇を 


静かな夏の陽がのびて
二人の額に影を落とす


あなたとわたしはまだ子供のまま
夏の庭で戯れる