あなたを思うのは
まだ青い霧がたちこめる夜明け前
それとも名も知れぬ花が香る陽のひかり
夜がやってくる吐息のまにまに
あなたを求めるのは
後れ毛が風に震えるようにひそかに
梢の青い葉に赤みがさすように
この胸の押さえきれない血潮から
ナイチンゲールが鳴いた、
あの時から風が吹いて私の窓辺を揺さぶる
時には風に抗い耳をふさいでも
その声はいつの日も胸の奥に響いてくる
痛みに似た喜びが広がるのだ
朝の初めの水滴がこぼれ落ちて
水面(みずおもて)にくっきりと波紋を描くように
深く深く奥底に浸透するように
私のナイチンゲール
その胸から血を流しやさしく囀る
運命の棘よ 白い花を真っ赤に染めて
あなたを感じ私もまた血を流している
夜明け前の青い夢の中であるいは