ことりことり、ないているのかうれしくてまたかなしくて冬の青ぞら
立ちつくす白い時間をせつなさは雪を見ている君の目に降る
窓とおく汽笛は過ぎてひかりのみ冬の手紙を燃やす夕べを
夢に泣いて目覚める日々の雨しずく永遠なんて知らなくていい
また過(よ)ぎる汽笛をのんでガラス窓思い出だけをさがす雪原
廃園の眠りのなかに光あり記憶の薔薇のうつくしく咲く
月の出を待つ砂浜を駆けてゆくまぼろし、春の静かなひづめ
ベルが鳴り、いつか飛び乗るはずの列車走り去りゆく風の往来
わたくしの小鳥を空に放してはまた拾う木霊やさしい明日(あす)を