あの月をおぼえている
かつて輝いた太陽を知っている
その手に触れたものも
触れ得なかったものもぜんぶ
それは、
緑陰にそっと揺れていた
真昼のしんとした光を浴びて
それは、
あなたしとわたしが触れた
名も知れない小さな花
ふるえていたのは風のせいではないこと
あなたとわたしの唇が
かすかに触れ合ったことなど
黄昏は早く訪れた
誰もいない花影でふたり
月も太陽もすべてわたしたちのものだった
見知らぬひとのほほえみさえも
それは、
緑陰にそっと眠っていた
わたしたちのもうひとつの翼
それは、
あなたとわたしが放した
名も知れない小さな鳥
アイシテル アイシテル
やさしい声でくり返すリフレイン
すべてわたしたちのものだった 月も太陽も
見知らぬひとのなみださえも