緑の扉口(とぐち)で世界がはじまる
アナザーバード
ありふれた季節に
誰でもない名前を探していた
初めて逢うひとのような
遠い
横顔を
朝露に濡れた
葉裏がひるがえる
風の道
ためらいながらも
腕のなかに抱かれて
そっとその頬に指をすべらせた
さびしく燃えてゆく鳥の声
心臓をついばむように
花ひらく
明日
生まれ変わって円環する
時も粒子も越えながら
しずかな色彩で呼んでいる
それとも
アナザーバード
何気ないしぐさで
誰でもない名前を口にふくんでいた
風の行く先を見つめる
いつかのまなざしを
どうか