青い川の写真をみた
あなたの引き出しにこっそり隠してあった
どこに流れているのかわからない
冷たい夜明けの川だ
(どこか遠くでそれとも耳元で汽笛が聴こえた気がして)
あなたは青い川にさらわれてしまった
水があなたの白い裸身に絡みつく
夜明けがわたしのなかに満ちてくる
名づけることのないそのブルー
わたしはまぼろしの川が流れるのを感じる
曇りガラスの窓のすぐ向こうを
あるいは誰もいない図書館の本棚の片隅で
人とすれ違ったさみしさの後に
(それから夢のなかに知られずそっと忍び込むだろう)
遥かなる、と誰かが囁いた
それはどこまでも流れてゆく青い川
わたしのまぶたの上を
水がわたしの瞳からこぼれて頬骨を伝う
いつかさらわれる日を待っている