2022年11月11日金曜日

青い川は流れる



青い川の写真をみた
あなたの引き出しにこっそり隠してあった
どこに流れているのかわからない
冷たい夜明けの川だ


(どこか遠くでそれとも耳元で汽笛が聴こえた気がして)


あなたは青い川にさらわれてしまった
水があなたの白い裸身に絡みつく
夜明けがわたしのなかに満ちてくる
名づけることのないそのブルー


わたしはまぼろしの川が流れるのを感じる
曇りガラスの窓のすぐ向こうを
あるいは誰もいない図書館の本棚の片隅で
人とすれ違ったさみしさの後に


(それから夢のなかに知られずそっと忍び込むだろう)


遥かなる、と誰かが囁いた
それはどこまでも流れてゆく青い川
わたしのまぶたの上を
水がわたしの瞳からこぼれて頬骨を伝う


いつかさらわれる日を待っている