2014年4月23日水曜日
アグネシュカ 夜明けの森
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで
わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉しいときはあなたは花のように微笑んで
黄昏がさびしいと
水のきらめきが美しいとこころを痛める
光と影のようにいつも隣り合って過ごした
もうひとりのわたし
手をのばせば今すぐあなたに触れるだろう
すみれの花を抱えて途方にくれないように
花の匂いにむせてあなたを見失わないように
一心に森を駆け抜けた 生まれたばかりの足で
(どこかで鐘が鳴り響く 耳の奥で
いいえどこか遠い湖の底で)
橋を渡るとあなたが待っている
アグネシュカ 青い瞳にわたしの湖が映る
揺れる長い髪にくちびるを寄せて
わたしはもうひとりのわたしを抱きしめる
あなたをずっと夢見ていた
アグネシュカ 夜明けがもうすぐやってくる
あなたとわたしがひとつになるように
どうか白い指をからめて
あなたに導かれて 夜明けの森を夢見た
森は眼前にひらかれる 翼をひろげた鳥として
ふいに飛び立つ空はすみれいろ
(どこかで鐘が鳴り響く 耳の奥で
いいえどこか遠い湖の底で)
あなたのためにわたしを生きている
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