2015年11月27日金曜日
レティシア 青い花を探して
雨が降っている、と 長い髪を翻して駆けていった
レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっとくちづけをかわした
誰もいない図書室で本をひらいて
陽だまりに読みふけった異国のものがたり
それとも微睡にふたりで夢に見た青い花だったろうか
空の色を映した花、どこかに咲くその花を
いつか想像してぼくたちは泉を飛び越えた
青い花、君の目のように、雨のように、
雨宿りをした木陰は君の心臓のように静かだったね
レティシア 君は素知らぬふりで目のなかに愛を飼う
かなしい時に君は泣かなくてうれしい時に涙をこぼす
小鳥のようにふるえてふたりは滴るしずくを見つめていた
きれいだと、一瞬時がとまった
あれは青い花だった?レティシア 君の目のなかに咲く
いいえ それはもう出会ったことさえない遠いむかし
遠いおはなし なのに
何遍も何遍も ほらこんなふうに愛しく
わたしのなかにあなたが降りそそぐ
雨のように、わたしを駆け抜けていった
レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっと耳もとにささやいた
雨が降っている、と ぼくたちの目のなかにいつまでも
登録:
投稿 (Atom)