2015年11月27日金曜日
レティシア 青い花を探して
雨が降っている、と 長い髪を翻して駆けていった
レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっとくちづけをかわした
誰もいない図書室で本をひらいて
陽だまりに読みふけった異国のものがたり
それとも微睡にふたりで夢に見た青い花だったろうか
空の色を映した花、どこかに咲くその花を
いつか想像してぼくたちは泉を飛び越えた
青い花、君の目のように、雨のように、
雨宿りをした木陰は君の心臓のように静かだったね
レティシア 君は素知らぬふりで目のなかに愛を飼う
かなしい時に君は泣かなくてうれしい時に涙をこぼす
小鳥のようにふるえてふたりは滴るしずくを見つめていた
きれいだと、一瞬時がとまった
あれは青い花だった?レティシア 君の目のなかに咲く
いいえ それはもう出会ったことさえない遠いむかし
遠いおはなし なのに
何遍も何遍も ほらこんなふうに愛しく
わたしのなかにあなたが降りそそぐ
雨のように、わたしを駆け抜けていった
レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっと耳もとにささやいた
雨が降っている、と ぼくたちの目のなかにいつまでも
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レティシアはスペイン王妃しか思いあたらないのですが、それも知っていた訳ではなくて探してみつけた王妃さま。青い花はラベンダー、ブルーサルビア、あとは春先の西洋球根花など、案外少ないようです。青い花は空の色に憧れて、映して、そのうちに染まってしまったのだと、新しい「花の伝説」をつくり、出遇う人ごとに説明しましょうか。あたかも私が考えついたように。その場合に雨は、慈雨なのかジェラシィなのか、ちょっと役割を創作しておかねば。
返信削除春麗さん、私にとってのレティシアは「冒険者たち」というフランス映画のヒロインでした。きれいな名前だと思い、いつか心に残っていました。スペイン王妃にも素敵な名前の方がいるのですね。青い花はノヴァーリスを意識したのですが、青色は憧れの象徴でもありますね。何の花だかは分からなくてもいい、私にとっても夢の象徴なのです。なぜか雨のイメージも湧きました。空の色に憧れて、そのうち染まってしまった花の伝説も秘めながら。
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