2007年2月20日火曜日
うすべに椿
あなたと私の距離は
うすべに椿
あなたが振り向くと
私が立ち止まる
そんな静かでもどかしい関係
あなたの穏やかな黒い瞳に私が映る
迷子のように泣きそうな顔をして
私は私をじっと見ている
湿った枯葉の匂いが立ち昇り
二人きりの小径は
斑(まだら)に陽が射して
花はこぼれますか
花は明るく色づいたまま
あなたの心の水面(みなも)に落ち
花はゆれますか
花は思いを象(かたど)ったまま
あなたの瞳のうちでくるくる回り
静かな波紋が広がって
さざ波が足もとまで寄せて来て
あなたと私の恋は
うすべに椿
つと視線を逸らして歩き出す
あなたの眼差しを背に感じながら
あなたが近づくのを待ちわびながら
そっと屈んで
指先で拾うその花に
あなたの手のひらが
やさしく重なるように
2007年2月9日金曜日
ミランダ
ミランダ やさしい亜麻色の髪
青い瞳で微笑みかける
ボッティチェリの絵から抜け出た天使
裸足で草原を歩くのが似合う
ミランダ 白鳥の細い首筋
もうすぐ居なくなると告げた
はかなげな指先は弧を描いて
白いドレスを翻し踊るのが似合う
心を込めて詩を書いた ミランダ
聖バレンタインに美しいカードを添えて
あなたに贈るこの憧れを
すべてが魔法に掛けられた ミランダ
誰もがあなたを眼差しで追うように
誰もがあなたに魅かれるように
その微笑みだけを欲していた ミランダ
美しいあなたを
あなたの居ない世界は闇だと
何かを予感していながらあなたは
いともたやすく澄んだ小川を飛び越えて
ミランダ ひな菊の可憐な花
風にそよぐ静かなほつれ毛
投げかけた眼差しに時は止まる
輝きだけを永遠に切り取り
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