2007年3月29日木曜日

目を閉じて



目を閉じて
そっと目を閉じて欲しいのです
まぶたの裏に感じるものは
やわらかな陽の光り
それとも七色の虹のきらめき
じっとしていると
風のささやきも聞こえるでしょう


あなたの美しいまぶたの上に
手のひらで目隠しをする
やさしく壊れないように
あなたの温かい肌に触れる
見えるものは何
感じるものは何
そのまま眠ってしまってもいいのです
目隠しの事など
私の小さな手のひらの事など
存在すら忘れてしまっても


静かですね
私も耳を澄ませます
聞こえるものは私の鼓動
あなたを思う心のゆらぎ
あなたは今何を思っているの
快い吐息のまま
私の手のひらの中で


 

2007年3月20日火曜日

倒れる



倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように


倒れる
デイジーの花弁(はなびら)
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに似て


その花に心を寄せたばかりに
花は無残にも崩れ落ちた
指先でデイジーをつまんで唇に寄せる
黄の花粉が
哀しみのように染みついてはなれない


倒れる
どうしようもなく
ふとしたやさしさで指先が触れ
抗う術もないまま
まるで夢のように


あなたに心を寄せたばかりに
私は