2007年3月20日火曜日

倒れる



倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように


倒れる
デイジーの花弁(はなびら)
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに似て


その花に心を寄せたばかりに
花は無残にも崩れ落ちた
指先でデイジーをつまんで唇に寄せる
黄の花粉が
哀しみのように染みついてはなれない


倒れる
どうしようもなく
ふとしたやさしさで指先が触れ
抗う術もないまま
まるで夢のように


あなたに心を寄せたばかりに
私は



2 件のコメント :

  1. 良い詩ですね。しみじみとそう思います。凄く好きです。願わくば、自分でこの詩を書きたかった、と少し嫉妬してしまいます(笑)。でも、インスピレーションは正しい詩の書き手に生まれ、花咲いたのだな、と思う。本当に良い詩ですね。ありがとう!

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  2. Yさん、嬉しいお言葉でした。今はちょっと沈滞気味で、この頃書いた詩が私自身もまぶしかったりします。それでも、その時々に感じる言葉を信じて。

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