メタモルフォーゼの森
どこへ行こうか――
そう問いかける森の
落ち葉は湿って素足に心地よい
(靴は捨ててしまった)
赤や黄や私を包み込むまだ青い
木の葉よ お前の匂いにむせて
ひたむきに傾けるやさしさにむせて
駆けてゆく 髪を唇にからませて
樹木をしならせ吹きすさぶ風は
私から身体(からだ)を奪おうとする
剥がれ落ち また剥がれ落ち
私に何が残るというのだろう
つま先はやがて土を蹴り
指さきはやがて蹄になり
木の葉や蔦や無数の草穂に
からまった髪から耳をぴんと立て
どこへ行こうか――
啼く声は喚(よ)んでいる
森の向こうにはまだ知らないあなたがいる
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