朝の葡萄
君の、夜明けの口唇に
葡萄の粒を含ませる朝
旅立つための翼をいだく
わたしの翼は白いだろうか
それとも燃えて血がにじんで赤く
葡萄の房に朝の雫がこぼれ
風が喜びを歌うとき
ひるがえる鳥の翼よ
光は射して夢の続きを結ぶ
あるいは鳴く鳥の声の限りに
胸に響いている ただ一途
あの葉陰に
あのやさしく戯れた指さき
葡萄は熟して光を帯びた
わたしの愛もあなたを思って満ちる
赤く、それはわたしを流れる血のように
すべて飲み干して
つきることのない泉
遠くどこまでも行こう
たとえまだ言葉がかたちにならないとしても
静かにそっとその目を閉じて――
君の、風に乾いた口唇に
葡萄の粒を含ませて
一度だけの夢をみる朝
口移しで知る永遠のありか
翼は力強く、しなやかに飛ぶ
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