2014年1月22日水曜日

手のひらの花、そしてあのひとの雪



 (雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
  わたしはくもりガラスの向こう側で)


あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとですべて埋まってしまう
どうか今すぐ来て ここに来て
雪のなかでくちづけて、あのひとを忘れてしまうよう
この世界はあのひとの雪でできている 


 (世界はガラス細工の函のように わたしを、
  閉じこめてうつくしい あのひとしか見えない)


あのひとの手のひらで 花が咲いている、
烈しく火ともえて あかく狂おしくそれは
わたしの胸のおくを焼き焦がす
どうか今すぐ来て ここに来て
雪のなかでもこぼれないようにわたしを支えて
こころは遠く 燠火ばかりが香る


 (手のひらをのべると あのひとを近く感じる
  指と指をむすべば 花は咲き続けるいとしさで)


わたしの 手のひらにも花が咲きはじめる、
どうかここに来て 今すぐ来て
あのひとはわたしを抱きしめてはなさない雪
それともやさしく絡みつく指さきで
奪っていこうとする、このちいさな世界さえも
わたしは雪、そしてあのひとのなかに咲く花になる


 (雪降る時間 あのひとに抱かれてねむる、
  くもりガラスの向こう側でわたしは)




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