2016年3月26日土曜日

夜明けのサティ



まなざしを夢に見るまで耳奥に遠い旋律夜明けのサティ


君だけを知っている記憶、冬風に燃える炎よいつか雪片


いつの日かめぐり来る日のグノシエンヌ海にピアノを置きざりにして


さすらいは窓を過ぎ行く頬杖の遠い汽笛を聞く夜昼の


雪の馬駆けてゆくごと抱きしめてジュトゥヴ君のうつくしい冬


いつまでも待っていると囁いた、木立のなかの静かなる月


まどろみの踊る爪先すべる指ジムノペディの春は近づく


雨音が叩く鍵盤胸にあそびやさしいことを独りかぞえる


おもいでに唇(くち)に含ます角砂糖誰も知らないノクチュルヌでも



2 件のコメント :

  1. いまから20年ほど前に、一世を風靡した「サティアン」というのがありました。
    サティはその名詞形かと思いはしたものの、
    カタカナはすべて音楽がらみの言葉だったのですねぇ。
    そうすると音楽の短歌(詩)ということになるのでしょうか。
    ノクチュルだけ、かろうじてわかる程度の私には難解な九編で、
    恥ずかしながらサティというおひとにここで初めて遇いました♪♩♬♪

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  2. 春麗さん、「サティアン」そんな言葉もありましたね(遠い目)。私はピアノ曲が好きです。以前ショパンを取り上げた事がありましたが、今回エリック・サティをテーマにしてみました。カタカナはほとんど楽曲の名前です。けれど、全編サティの楽曲を詠むには無理があったので、音楽の短歌とは言えないかも知れません。あとはイメージです(苦笑)。

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