2016年4月25日月曜日
春のたまご
春はまあるいのです
まあるくて秘密を抱えているのです
淡い色で揺れている わたしの胸のうち
やわらかくて抱きしめてしまいたくなるもの
それともきつく抱きしめて壊したくなるもの
本当は好きって言いたいのに 口をつぐんで
海があるのかも知れない
あのひとの心が打ち寄せる波打ち際があって
わたしは宝物のように大事にしまっている
耳を寄せて聞いてみるのです
もしかあのひとの鼓動かも知れなくて
ひとしずく、こぼれたら溺れてしまいそうで
海はときどきこわくなる
小鳥が眠っているのかも知れない
いつか飛び立ってしまうあのひとの心を閉じ込めて
わたしのために鳴いてくれる日を夢見ている
ふるえているのは誰?
いいえ、わたしの心臓かも知れなくて
恋しさに突かれて胸の奥が痛くなる
小鳥はときどきさみしくなる
抱きしめていたいからいつまでも たまごのままで
そっと壊れないようにいつまでも 生まれないままで
ああ、春はまあるいのです
まあるくてやさしいのです
そして意地悪な指先で
わたしをつかまえてしまう
だから逃げようとしても追いかけてくる
生まれようとしている あふれようとしている
わたしの心を
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春の詩なのに、季節はもう夏になりかけています。遠くからみれば、春の丸さがわかるかもしれない。たとえば地球の丸さがわかるように。春にたまご状態だった小鳥は、夏になってどうしちゃったでしょう。———と、まるで自然科学者のように暢気なことを考えています。
返信削除春麗さん、春が丸いのなら、夏はなんでしょうね。三角?四角?春にたまご状態だった小鳥は、夏に自由に飛び回っています―――だといいのですが。新緑はまぶしくて、青い空はとてもきれいで気持ち良さそうです。
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