2016年6月24日金曜日

赤い糸を君に



あなたの小指に糸を巻きつけました
赤い色をした糸を
風にふるえて揺れている
その糸の先にわたしの小指


(ねえ きれいでしょう この世界は
 心でしか見えないものがある)


どこか遠い場所で鳩が飛んだ
わたしたちのことを誰も知らない
ほつれ毛をなびかせて花のように
夏草のなか静かに微笑みを交わす
二人の幸福は川のようだった


小指と小指に赤い糸を絡ませて
知らない林に横たわり目を閉じる
そんな恋だ
あなたとわたし
このままはなれられないように


(ねえ きれいでしょう この世界は
 こんなにか細い糸だとしても)


行方知れずになってそれでも
こぼれてゆく時間があるのです
なつかしい歌をいつか思い出す
なつかしいあなたをいつか心に描く
そしてどこかでまた鳩が飛んで


小指と小指の赤い糸は約束のしるし
また逢えますように
意地悪な夢にはぐれてしまっても
何度でもたどりつけますように
あなたとわたし


永遠と一瞬は同じ速さで過ぎる
あの孤独な鳩のように
あなたと繋ぐ糸を憶えている
この心をずっと知っていた



2 件のコメント :

  1. 現実的なことをいつも考えてしまうのですが、赤い糸で結ばれて一度も切れないままに済ませることは、そういうひとは居るのだと思うのですが、つくづくうらやましいのです。糸はぷっつんと切れるもの。でもね、きれた糸がまた見つかったり、赤い色が白くなったり、とりあえずまた結んだりすることも希にはあって、色や太さはどうでもいいから、とにかくもう切れないでほしいと思うこともあります。糸が切れても今はもう電波で繋がる時代ですけどね。

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  2. 春麗さん、今はそう、電波で繋がる時代ですよね。赤い糸なんてもう古い。そう思いながらも、赤い糸に引かれて書いてみました。切れそうな細い糸だから、浪漫がある。しかし、ワイヤーのような鋼だったり、蜘蛛の糸のように張り巡らせているものだとも想像できます。それこそ、電波になっているのかも知れません。形を変えても、息づいていくような。

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