2014年12月17日水曜日

風のような音楽




指先は頬をすべって触れてゆくやさしい風のような音楽


君の背に耳寄せて聴く森があるざわめき揺れる二人の愛も


黄昏に言葉を失い泣き濡れてモルフォ蝶飛ぶわたくしの夜


白い手にからまる翼いつか見た空の余白へ飛ぼうとしてなお


愛永遠(とわ)にあかいと言って突き刺さる湖面に落ちる君の一葉


風冷えの街海に似て冬の日へ帆を上げてゆく心の船の


めぐり逢い、木の間隠れの鹿のごと見つめ合えれば運命の旅


君の目の燃える雪野へ迷いたい淋しさゆるす鍵をさがして


涼やかな風それとも愛の言葉くちびるこぼれる歌を待ちつつ




2 件のコメント :

  1. いつもながらに、個々の短歌としてより全体をひとつの詩として読む、ということに加えて春麗の保有する技術のうち、滅多につかわない秘法で難解な短歌群を解読しました。
      やさしい風に ざわめき揺れて 泣き濡れて
      飛ぼうとしても なお突き刺さり 風冷えに
      見つめ合えれば 淋しさゆるす 歌を待つ
    とゆうことで、万葉集の磯のあわびの片想い的に理解(曲解?)しました。いやはや短歌でこんなに苦労するとは夢にも思いませんでした。ここまで読んで改めて全体を見渡すと、始めと終りのうたが(マイナス心理を扱ってないせいか)やっぱり佳いような。

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  2. 春麗さん、秘法で解読して頂けるとは嬉しいです。いつもながら初めの歌と終わりの歌が対になっていて、あとは気分で作ったようなものなので、全体で読むと分からないのも当然です。でも、私の中ではそれでひとつの流れとして成り立っていたりします・・・。音楽をテーマにしようかと思いつつ、それもどこかへ流ていってしまいました。我ながら意味があるようで意味のない短歌を作っています。

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