2015年4月22日水曜日

春の海の変容



春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように


遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて


あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなかった
両手を差し伸べると
背中でふるえる白い羽根
少年は涼しい目をして飛び立っていった 雲間の彼方
それとも一羽の鳥だったろうか 白い羽根が風に舞って


白い羽根のひかり
雲の切れ間のひかり
風はひかり
ただ春の陽射しにながされて


あのひとの美しい足は魚になってしまった
砂に濡れたと思われたのは
きらきらと光り輝く鱗
少女は花のように微笑んで 長い髪をひるがえした
それとも波間にはねる魚影だったろうか 花びらに似て


春の海はまぼろし
寄せてゆく幾重もの波が白馬の群れになる
わたしもいつしか透過していくだろう


駆けてゆく 駆けてゆく 風を道連れとして




2 件のコメント :

  1. 看板の写真をバラの花に衣替えしました?むかし久米の仙人が雲の上から地上の美女のすね足を見て、動揺して雲から転げ落ちたというようなお話を読んだことがあります。わたし、あの子、少年、あのひと、少女、わたし。登場人物が多くて、でも本当は二人きりで、誰と誰とが一緒なんだろうかと思いながら読みました。「あの子」と「あのひと」は男女両方の場合があり得るし、鳥も魚影も白馬も、——白馬はまぁ男性代名詞とは思いますが、そんなことを考えていたら、季節はいつしか春から初夏を通り越して、夏になったような気さえいたします。

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  2. 春麗さん、気分的にヘッダーを変えてみました。少女の細い脛は壊れそうです。この写真とは関係ありませんが、少女の足は人魚と結びついています。少年の背中には翼が似合うように。私にも常に変身願望があります。ちなみに少年の壊れそうな脛も好きなのですが(足フェチではありませんー)、それはともかく久米仙人の話は何かで読んだ事がありました。

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