「あこがれ」
あこがれは一番星の良きひかりいかにはかなく夜が来ようと
人は行くランボオの詩を胸にだき人いきれへと振り返りもせず
鳥は飛ぶただ啼きながらひたすらに空になるまで青になるまで
船は発つ潮風を帆にはらませて水脈ひいてゆく南をめざし
名も知れぬ草の実ひとつほどの夢指でつぶせば染みるその色
「五羽の鳥」
ふいにまた一羽の鳥が飛び立ちて束の間の夢心をよぎる
街角でつがいの鳥の歌を聞くアナタナシデハ/アナタナシデモ
啼くな鳥涙ながすなうつむくな唇かんで三羽の鳥よ
思い出は四羽の鳥の空の行くつらなりながら雲の切れ間に
五羽の鳥電線にいて押し黙る風は北向き蒼穹はるか