「とおい歌」
いつの日の窓辺に聞いたとおい歌盗んで消えるおもいでの耳
汽笛すぎ残されゆくは草鉄路待つだけの駅呼ぶだけの風
なぐさめを知るか口笛おおぞらに心を放ち往くかくちぶえ
知らぬ部屋みしらぬ二人浅いキスギタア爪弾く黄昏のゆび
ハメルンの笛吹き男のとおい歌子供にもどってついていきたく
「押入の夕闇」
押入に夕闇はつと隠れてる「もういいかい」と「まあだだよ」とで
庭先にブランコだけがゆれていて昼のサイレン明日はとおく
陽のひかり障子にさせば心痛み指でつくるは淋しいきつね
すりむいた膝をゆるして泣き虫は一人で啼いてひとり忘れる
足裏でたしかめているこの夕べささやき過ぎる風は「明日」と
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