「雨をみていた」
透き通るガラスの惑い指でなぞり雨をみていた心おちいて
白い足走り去る朝つかのまの雨をみていた虹を待つまま
紫陽花の肌の静けさこぼれゆく雨をみていたぬるい午睡は
人いつか帰り支度の傘の波雨をみていた夕べは遠く
街はいま水音流る夜の底雨をみていた雨を知っていた
「雨、また雨」
寝苦しく目覚めた朝に夢うつつ激しく窓をたたくたたく雨
雨音を思えば雨が支配する人を思えば雨の一日
アンブレラ覗いた瞳くぎづけるすれ違いざま舗道のひとり
忘れるなら心ひらかず持っていてレインコートを着て会いにゆく
とめどない思いの檻にとらわれるたたく窓枠雨、また雨の
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