2023年10月13日金曜日

雨をみていた/雨、また雨


 






「雨をみていた」

透き通るガラスの惑い指でなぞり雨をみていた心おちいて

白い足走り去る朝つかのまの雨をみていた虹を待つまま

紫陽花の肌の静けさこぼれゆく雨をみていたぬるい午睡は

人いつか帰り支度の傘の波雨をみていた夕べは遠く

街はいま水音流る夜の底雨をみていた雨を知っていた


「雨、また雨」

寝苦しく目覚めた朝に夢うつつ激しく窓をたたくたたく雨

雨音を思えば雨が支配する人を思えば雨の一日

アンブレラ覗いた瞳くぎづけるすれ違いざま舗道のひとり

忘れるなら心ひらかず持っていてレインコートを着て会いにゆく

とめどない思いの檻にとらわれるたたく窓枠雨、また雨の


0 件のコメント:

コメントを投稿