2023年10月12日木曜日

春ショパン/春の日


 






「春ショパン」

やるせなさ瞳は映すとおい窓夜は流れて青いノクターン

駆けてゆく白い足首白い影心に落ちる雨だれを聞く

思い出す人の涙を黙りこむ肩の重みを別れのゆうべ

頰よせる日々はバラードなつかしい指先でるいつかの詩集

つきはなし逃げてゆく春残されてひとり目覚める葬送の朝


「春の日」

君の目が欲しいんだただ春の日にやさしさなんて知らなくていい

叩くたたく野に打つ雨に踏みにじる花のとむらいこのぴあのソロ

かなしみは街角で吹くシャボン玉それとも一人つぶす苺の

たそがれの音楽室に忍び込みセロの弦切る盲目は早く

破り捨てやぶりすてまた書く手紙うつしみを乞う春の日はゆく


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