「沈黙と蝶」
夏の野は沈黙の果てみつめあうだけのくちづけ唇に蝶
じっとして壊れないよう忍び寄る白い羽には光だけ射し
言葉などもはやいらない君をつれ夏の丘へと逃げる細足
けれどもう絡む深草指先の蝶を逃がして倒れこむ道
愛というその白日夢うなだれる虫取り網の少年われは
「永遠中毒」
少女服脱ぎ捨て君は駆けぬける街角、インクの乾かない朝
追いかけて非常口ドア雨上がり無邪気な青にだまされてゆく
水にうつる言葉も意味もないグラス残り香だけの君のストック
永遠は知らない言葉軽薄な口もと濡らし走り去る雨
白い蝶真夜中すぎの水槽に閉じこめてみた僕だけの恋
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